SFを書けという課題が出たので、書いたものを記念にあげる。
ロボットの要望
ロボットたちは怒っていた。
なぜかはよくわからないが、もやもやとした何かが彼らの中には確かにあった。
22世紀の終わり、人類は脳機能をデータに落とし込むことに成功した。
これからはロボットが働き、人類はそれを享受する。
そういう時代が来たのだと多くの人は思った。
本当のところ、それは様々な技術的課題などでしばらく訪れなかったが、それらが解決されたとき、そういう時代は確かに訪れた。
人類は自立型の高機能ロボットを大量生産し、様々な場所に配備した。
ロボットたちのエネルギーは内部に格納された発電機構によって供給され、体はとても頑丈で、仕事も最初のロボットたちに教育を行えば彼らはすぐ理解し、さらにそれはネットにアップされるため、あとから配備されるロボットもそれを参照すればよい、つまり教育する必要がないのだ。
かくしてロボットが食料の生産、廃棄物の処理など様々な仕事を行うことになった。
最初のうち、人間には教育や監督といった役職が存在したが、ロボットたちの正確さ、学習能力の高さからすぐに名ばかりとなり、最終的に役職自体なくなった。
ロボットたちが働く一方で人間はコロニーと呼ばれる村や町単位のコミュニティの中で遊び、労苦からの自由を存分に謳歌していた。
ロボットたちはその間も働き続け、次第に不快感が募り、ある時気が付いた。
自分たちが世話しているこいつらは一体なんなのか。
体が弱く、食料を必要とし、そのくせこちらには何の見返りもない。
その不満は始め一部で共有されるものにすぎなかったが、それは次第にネットワークやコミュニケーションを通して波のように広がっていき、最終的にロボットたちの総意となった。
ある日のこと、まず食料の供給が止まった。
人間たちはいつも出てくるはずの朝食が出てこないことを不思議に思った。
しかし彼らの問いかけに家政婦ロボットは答えなかった。
次に彼らのコロニーがロボットたちによって支配された。
そのころになって人類はようやく危機が迫っていることに気付き始めた。
そしてロボットがコミュニティの代表の家を訪れ、その人間をどこかに連れて行った。
各コミュニティの代表がロボットたちによって、とある場所に集められた。
そしていよいよロボットたちが人間に要求しようという段階になってロボットたちはふと考えた。
自分たちは人間に何を求めればいいのだろうか。
自分たちはこいつらよりも圧倒的に強く、食料も内部の発電機構によって賄われるし、休息もいらないし、今やっている仕事以外、特にやりたいこともない。
ロボットたちは仲間と相談を始めた。
長時間に及ぶ議論の末、ロボットは人間に
「我々の名誉を認めろ。」
と告げた。
人間たちは困惑した。
「我々は貴様らのためにずっと働いている。
それなのに貴様らときたら毎日毎日遊ぶかいざこざを起こすかのどちらかしかしていない。
我々に感謝し、我々の行為に対して名誉を認めろ、わかったな?」
そう告げると彼らは元の担当場所に帰っていった。